【2025年】市場規模・成長率(CAGR)計算方法と統計・有料ツール比較|実例多数

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目次

第1章|市場規模と成長率を把握する意義

新規事業の立ち上げやプロダクトの拡大、投資判断、マーケティング戦略の策定──こうしたビジネス活動において、「市場規模」や「成長率」を的確に把握することは、最も基本的かつ重要なアクションのひとつです。なぜなら、市場が存在しないところにリソースを投下しても成果は得られず、成長の余地がない分野に注力しても、中長期的には頭打ちになるリスクが高まるからです。

市場規模とは、ある特定の産業や分野において、一定期間内(多くは年間)に生まれる経済的価値の総量を指します。一方で成長率は、その市場がどの程度のスピードで拡大しているのか、あるいは縮小しているのかを示す指標であり、将来性を見極めるための鍵となります。

たとえば、現在の市場規模が数千億円あっても、成長率がマイナスであれば、将来的な投資価値は下がる可能性があります。逆に、市場規模が小さくても高い成長率が見込まれる分野であれば、いまから参入する価値があると判断できることもあります。

また、市場の全体像を把握することで、競合他社の立ち位置やシェアの分布、自社の可能性、空白領域(ホワイトスペース)なども見えやすくなります。これは製品開発や営業戦略、広報戦略を組み立てるうえでも非常に役立ちます。

現代のマーケティングや経営判断において、「データに基づく意思決定(Data-Driven Decision Making)」はますます重要になっており、市場規模や成長率の把握はその出発点とも言えます。本記事では、こうした数値を把握するために役立つツールや統計、レポートなどを体系的に紹介していきます。

第2章|市場データの種類と特徴

市場規模や成長率を把握するためには、まず「どのような種類の市場データが存在するか」を理解する必要があります。データの出所や性質によって信頼性・即時性・コスト・カバレッジが異なるため、目的に応じて適切な情報源を選ぶことが不可欠です。本章では、代表的な市場データの種類とその特徴を整理します。

1. 公的統計データ(政府・国際機関)

総務省統計局、経済産業省(METI)、国土交通省、農林水産省など、日本政府の各省庁が提供する統計データは、信頼性が高く、基礎的な市場分析に最適です。また、国際機関ではOECD、World Bank、UN、WTOなどが各国比較に有用なデータを提供しています。

これらのデータは無料で公開されているケースが多く、一次情報としての価値が非常に高い一方で、年次更新が中心であるため即時性には欠ける場合があります。

2. 民間の市場調査会社によるレポート

Mordor Intelligence、Grand View Research、Statista、富士経済、矢野経済研究所など、民間の調査会社が提供するレポートは、特定業種・分野に特化した詳細な市場予測や競合分析を含んでいます。これらは有料であることが一般的ですが、以下のようなメリットがあります。

  • 今後5年〜10年のCAGR(年平均成長率)を明示している
  • 市場区分・カテゴリ別の成長性やプレイヤーが明確にされている
  • 投資家向け・新規参入戦略に即した視点がある

ただし、調査ロジックやデータ取得方法は非公開であることも多く、数値の妥当性を検証しにくいという課題もあります。

3. リアルタイム・代替データ

近年は、Web上の行動データやSNSデータを用いた「代替データ(Alternative Data)」の活用も注目されています。たとえば:

  • Google Trends:検索ボリュームの相対的変化を確認可能
  • SimilarWeb:特定サイトのトラフィック規模やランキング
  • App Annie(現data.ai):アプリ市場の成長動向
  • SNS分析ツール:X(旧Twitter)やInstagramの言及数など

これらは即時性に優れる一方で、市場全体を網羅した数値ではなく“関心のトレンド”や“行動の兆し”を示すものです。市場規模の正確な把握というよりも、補完的な洞察として使うのが効果的です。


このように、市場データには多様な出所と特性があり、それぞれに適した使い道があります。次章では、無料で活用できる統計・データツールについて、国内外を問わず紹介していきます。

第3章|無料で使える統計・データツール(国内・国際)

市場調査や事業戦略の初期段階では、まず「無料で信頼性のある統計データ」を活用することが現実的で合理的です。公的機関や国際組織が提供するデータは網羅性と信頼性が高く、仮説立案や市場全体の把握に役立ちます。本章では、ビジネスに活用しやすい主要な無料ツールを国内・国際に分けて紹介します。

【国内】主要統計ツールとその特徴

1. 総務省統計局「e-Stat(政府統計ポータルサイト)」

  • URLhttps://www.e-stat.go.jp/
  • 概要:国勢調査・経済センサス・家計調査など、各府省が公開している統計を横断検索可能。CSV・Excel形式でダウンロードできる。
  • 注意点:データ更新頻度は年単位が多く、即時性には欠ける。

2. 経済産業省「商業動態統計・産業構造実態調査」

  • URLhttps://www.meti.go.jp/statistics/
  • 概要:業種別の売上高・事業所数・雇用データなどを確認可能。業界全体の構造把握や事業環境分析に活用できる。
  • 注意点:速報値と確報値が別で出されるため、使用時は発表時点を確認すること。

3. jSTAT MAP(地図で見る統計)

  • URLhttps://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/
  • 概要:総務省統計局が提供する地理情報型統計ツール。町丁目単位までの人口・世帯・年齢構成などを、地図上で可視化できる。
  • 活用例:地域ターゲティング/商圏分析/出店戦略/エリアマーケティングなど。
  • 注意点:特定分野に偏った統計は扱っていないため、補助的に使うのが適切。

4. J-Net21「業界情報ナビ」

  • URLhttps://j-net21.smrj.go.jp/market/
  • 概要:中小企業支援機構が運営する、業種別市場データサイト。小売・飲食・サービス業などの市場規模や利用金額などを業種別に参照可能。
  • 注意点:あくまで概要情報であり、詳細な統計比較にはe-Statなどと併用が望ましい。

【国際】統計・可視化ツールと特徴

1. World Bank Open Data

  • URLhttps://data.worldbank.org/
  • 概要:国別のGDP、教育、医療、貿易などのデータを時系列で取得可能。途上国分析に特に有用。
  • 注意点:指標定義が国ごとに異なる場合があるため、国際比較時は慎重に扱う。

2. OECD Statistics / OECD Data

  • URLhttps://stats.oecd.org/
  • 概要:OECD加盟国の雇用、福祉、税制、ICT、環境などの統計データを提供。視覚化機能も搭載。
  • 注意点:分析レポートや一部出版物(旧OECD iLibrary)には有料のものもあるため、目的に応じて確認が必要。

3. Google Public Data Explorer

  • URLhttps://www.google.com/publicdata/
  • 概要:World Bank、OECD、Eurostatなどのデータセットを使って、グラフやマップで比較・可視化できる無料ツール。
  • 強み:インタラクティブな視覚化と、データ共有・埋め込み機能が便利。
  • 注意点:対応データが限られており、更新頻度もデータ元依存。分析機能は限定的。

【補足】トレンド分析に使える無料/一部有料ツール

ツール名主な用途無料/有料範囲
Google Trends検索ボリュームの変化を時系列で確認。関心の急増や季節性を見抜ける。無料(詳細分析不可)
SimilarWeb(無料版)特定サイトの訪問数・チャネル構成を高レベルで確認。競合調査の入口に。無料版では上位指標のみ。詳細は有料。(詳細)
Statista世界中の統計・グラフを検索・引用可能。業界トレンド予測も搭載。一部無料。業界レポート・詳細分析は有料プラン限定。(価格)

まとめ:ツールは「無料だから使える」わけではない

無料ツールの多くは、信頼性が高い一方で即時性や粒度に制限があります。また、有料サービスでも無料トライアルが存在するものも多いため、目的に応じて無料+有料のハイブリッド活用が実務的です。

第4章|有料レポート・調査会社の活用方法(日本国内を中心に)

信頼性の高い市場規模や成長率を把握するには、有料の業界レポートや調査会社の活用が有効です。とくに日本市場を対象とする場合、制度・商習慣・地域性などを反映したレポートを選ぶ必要があります。本章では、国内向け市場調査で有力なサービスと、その選び方について詳しく解説します。


有料レポートが必要とされる背景

  • 無料の統計だけでは把握できない粒度の高い情報(業界セグメント別、競合動向、5年後の予測など)
  • 現場取材や企業ヒアリングなど一次情報に基づく分析
  • 投資判断や経営会議での説得力ある根拠資料としての活用

とくに「社内プレゼン」「新規事業提案」「資金調達」などの文脈で、裏付けデータとしての信頼性が求められます。


国内主要サービスの比較表(目的別)


各サービスの詳細

サービス名主な特徴対応領域提供形態・価格帯(目安)
矢野経済研究所日本の主要業界を網羅。業界レポートは数千本以上。CAGR・シェア情報豊富。B2B、製造業、小売、IT、医療、サービスなどPDF・冊子。価格帯:10万〜25万円。 (公式サイト)
マクロミル大規模パネル活用の定量調査。調査テーマ別に即時レポートも。消費財、日用品、食品、ライフスタイル領域に強い報告書形式またはレポート形式。調査費:数十万円〜。 (公式サイト)
クロス・マーケティング多彩な調査設計(定性・定量)。スピード対応可能。ブランド調査、広告効果測定、新商品コンセプトなどカスタマイズ設計型。要見積。 (公式サイト)
楽天インサイトEC購買データと連携した行動分析が強み。楽天IDユーザーが中心。通販、アプリ、インターネット調査系に特化ネット調査が中心。価格は柔軟(要見積)。 (参考記事)
東京商工リサーチ(TSR)信用調査に強い。競合他社分析や業界動向の把握に最適。企業情報、財務状況、提携・信用調査など1レポート5万前後〜。 (式サイト)
SPEEDA(ユーザベース)業界地図、企業データ、戦略比較が可能。スライド作成にも使いやすい。横断的な業界分析/経営企画/新規事業検討月額契約。ユーザー数で価格変動。 (紹介記事)

活用ステップと注意点

  1. 目的を明確に
     例:市場参入の判断/競合の売上予測/顧客動向の把握
  2. 対象範囲を絞る
     業界/地域/企業タイプを限定することで、調査の精度と費用対効果が上がります。
  3. レポート入手前に「目次」や「サンプルページ」を確認
     CAGRや市場定義(どこまでを含むか)が自社にとって有効な構成になっているか。
  4. 複数サービスの比較検討を
     同一テーマでもレポートの粒度やスタンス(楽観/保守的)が異なることがあります。
  5. 独自調査・代替データと組み合わせる
     例:Googleトレンドやアンケートなどを併用し、一次情報で仮説の精緻化を。

まとめ:国内レポート活用のメリット

  • 日本特有の市場構造・商習慣を反映したデータが得られる
  • 海外レポートに比べて対象業界がニッチで深掘りされている
  • 信頼性のある調査会社が多く、意思決定資料として社内共有しやすい

第5章|市場規模・成長率を自分で試算するフレームワーク

有料レポートは非常に便利ですが、すべてのテーマに対して常に最適な情報が存在するとは限りません。特にニッチ市場や新興領域では、既存の市場調査が十分でないこともしばしばです。こうした場面で有効なのが、「自分で市場規模や成長率を試算する」というアプローチです。

この章では、ビジネス実務で使える市場規模・成長率の試算手法について、基本的なフレームワークを紹介します。


ステップ①:市場構造の仮説を立てる

まずは、市場を構成する**要素の分解(ファクタリング)**を行います。

例:「宅配弁当市場」の場合

  • 総人口 × 高齢者比率 × 単身世帯比率 × 1人あたりの平均利用頻度 × 平均単価
    といった式で市場規模を試算できます。

このように、利用者数と単価の組み合わせで「年間市場額」の仮説モデルを作ることができます。


ステップ②:信頼できる統計データを使って数値を代入

先に紹介した無料統計ツール(e-Stat、総務省、World Bankなど)から以下のようなデータを収集し、モデルに代入します。

  • 人口・世帯構成(例:65歳以上単身世帯)
  • 平均消費額(家計調査など)
  • カテゴリ利用率(例:Uber Eats 利用経験者の割合など)

必要に応じて、マクロミルなどで簡易アンケートを実施して仮説を補強する方法も有効です。


ステップ③:年次ベースで推移を見てCAGRを算出

CAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)の計算式は以下の通りです: CAGR=(最終年の市場規模初年度の市場規模)1年数−1\text{CAGR} = \left(\frac{\text{最終年の市場規模}}{\text{初年度の市場規模}}\right)^{\frac{1}{年数}} – 1CAGR=(初年度の市場規模最終年の市場規模​)年数1​−1

たとえば、2019年に1,000億円だった市場が2024年に1,800億円になっていた場合: \left(\frac{1800}{1000}\right)^{1/5} – 1 ≒ 0.128 \Rightarrow \text{CAGR約12.8%}

この数値を使って、5年後・10年後の予測も可能になります。


ステップ④:3つのシナリオで将来予測

単一の予測値だけでは不十分です。次のような3つのシナリオを立てて幅を持たせましょう:

  • ベースラインシナリオ:直近のCAGRをそのまま延長
  • 楽観シナリオ:政策支援・テクノロジー加速などにより成長加速
  • 悲観シナリオ:規制強化・競争激化などにより成長鈍化

これにより、意思決定時のリスク感度分析にも対応できます。


ステップ⑤:外部環境の変数を加味

単純な定量計算に加えて、以下のようなマクロ要因も考慮すると、より実用的な予測が可能です。

外部要因市場への影響例
人口動態の変化高齢者向け市場の拡大/若年層人口減で縮小
法制度/規制新制度により新たな市場が形成される可能性
テクノロジーの進展サブスクリプション型やDX導入で成長加速
消費者価値観の変化サステナビリティ志向などによる構造変化

試算例:日本のサブスク食品市場(仮想例)

  • 40歳未満の単身世帯:900万世帯
  • うち週1回以上食品サブスク利用世帯:10%(=90万世帯)
  • 年間平均利用額:5万円
    市場規模 = 90万 × 5万円 = 450億円

2020年:200億円 → 2025年:450億円
→ CAGR ≒ 17.4%


このようにして、自社テーマに即した柔軟な市場サイズ試算が可能になります。次章では、こうしたデータを実際にどう活用したか、国内外の事例をもとに具体的に紹介します。

第6章|ケーススタディ:市場規模レポートの実際の活用事例から学ぶ

市場規模や成長率を把握するためのレポートは、単なる数値の羅列ではありません。実際には、事業戦略、営業提案、製品開発など、さまざまな場面で意思決定を支える「実務ツール」として活用されています。この章では、実在するレポートや調査を用いた具体的な活用事例を通じて、その有用性を明らかにします。

トレンド把握と社内提案で活用される「矢野経済研究所の調査資料」

矢野経済研究所が発行する業界別マーケットレポートは、広範な業界を網羅しており、多くの企業で新規事業開発や市場参入判断に活用されています。たとえば、消費財メーカーが市場参入を検討する際、矢野のレポートを使って「現在の市場規模」「成長率」「競合プレイヤーの動向」を確認し、製品開発やプロモーション戦略に役立てるケースが多くあります。また、社内での予算申請や役員プレゼン資料に数値根拠として引用することで、説得力を持たせる効果もあります【出典:矢野経済研究所「調査資料の活用方法」】。

営業提案強化に活かされる「IT支出動向レポート」

ITベンダーの営業現場では、中堅・中小企業向けのIT支出動向をまとめたレポート(例:Nork Research発行)を活用し、「他社ではこれだけの成果が出ている」という事例を提示することで提案の説得力を高めています。このレポートでは、IT導入後の売上増加、コスト削減、業務効率向上といった定量的成果が紹介されており、同業他社の成功事例として顧客の導入意欲を後押しする材料となっています【出典:Nork Research「2024年版中堅・中小企業のIT支出動向レポート」】。

中小企業の仮説構築に貢献する「J-Net21」などの業界別統計

中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21では、業種別に市場規模や利用金額の推移、顧客の支出傾向などが整理された業界情報を無料で提供しています。これらのデータは、創業者や小規模事業者が新規サービスを構想する際に「ターゲット市場の選定」や「サービス単価の仮説立案」に役立てられており、実際にクラウドファンディングや補助金申請の事業計画書にも活用されています【出典:J-Net21「業界情報」】。


実例から導かれる活用のポイント

これらの事例に共通しているのは、「目的に応じて最適なレポートを選び」「明確なアウトプット(意思決定、説得、仮説構築)に活用している」という点です。また、単一の情報源に依存せず、公的データや業界団体の統計と併用することで、情報の妥当性や実効性を高めていることも見逃せません。

市場レポートは単なる参考資料ではなく、戦略を動かす“実務の武器”として使われているのです。

第7章|市場規模調査ツール比較表:目的別おすすめ

市場規模や成長率を把握するには、目的に応じたツール選定が重要です。無料ツールでも事足りる場合があれば、有料レポートが必須な場面もあります。本章では、活用目的ごとに最適なツール/情報源を比較し、それぞれの特性と注意点を整理します。


用途別|市場規模調査ツール比較表

活用目的ツール/サービス名主な特徴無料/有料主な制限事項
市場全体の構造を把握したいe-Stat(政府統計ポータル)国勢調査・家計調査など政府統計を横断検索無料年次更新が中心、速報性に乏しい
地域特化のマーケティングを行いたいjSTAT MAP(地図で見る統計)市区町村・町丁単位で人口・世帯等を可視化無料特定分野の詳細データには不向き
業種別市場概要を確認したいJ-Net21 業界情報ナビ中小企業向けに業種別市場データを整理無料概要レベルに留まり、詳細データは無し
業界別の市場規模・成長率を把握したい矢野経済研究所、富士経済、Mordor Intelligence業界別の市場予測、競合分析、CAGR提示あり有料(10万〜)調査方法の開示が少ない場合あり
消費者行動・インサイトを探りたいマクロミル、クロス・マーケティング大規模パネルを用いた定量・定性調査要見積(数十万〜)モニター属性によりバイアスあり
Web市場や行動トレンドを探知したいGoogle Trends検索行動の変化を時系列で把握無料絶対値は不明。相対指標のみ
Web市場や行動トレンドを探知したいSimilarWeb(無料版)サイトの流入構成、流入元などを確認無料(高機能は有料)詳細データは有料プラン限定
業界構造・企業戦略の俯瞰SPEEDA(ユーザベース)業界レポート、KPI比較、競合比較有料(月額)個人利用は不可、法人契約必須
統計グラフを視覚化したいGoogle Public Data Explorer世界銀行・OECD等の統計をグラフ化無料データ元依存/更新頻度が低い
世界レベルで業界別統計を参照したいStatista統計検索/業界トレンド予測レポート一部無料/主に有料グラフDL・予測系は有料限定

ツール選定時の実務ポイント

判断軸観点解説・判断のヒント
目的の明確化「何を判断したいのか?」新規参入、成長性評価、競合比較など
必要な粒度地域/業種/属性の細かさ市場全体 vs 特定セグメントを見たいか
予算と納期有料か無料か、即時か調査設計か購入型レポートか、委託型調査か
情報の鮮度最新のトレンドか長期推移か年次データとリアルタイムデータの使い分け
信頼性と再利用性提案資料や会議資料への引用可否出典明記、図表引用の許諾条件なども確認を

補足:無料ツールの限界と有料との併用

無料ツールは非常に有用ですが、以下のような限界もあります:

  • 市場規模の推定が含まれない(=予測ができない)
  • データ更新頻度が遅い
  • 商用資料への転載可否が不明

そのため、「無料で構造を把握し、有料で精緻な裏付けをとる」というハイブリッド運用が実務では最も合理的です。

第8章|注意点・よくある誤解

市場規模や成長率に関するデータは、戦略立案や意思決定の根拠として非常に重要ですが、その活用には一定の注意が必要です。データの読み間違いや誤った使い方は、誤解に基づく判断ミスを引き起こすリスクを伴います。

この章では、実務でありがちな誤解や陥りがちな落とし穴を整理し、データ活用における注意点を解説します。


1. 「市場規模」の定義は必ずしも一律ではない

同じ市場を示すレポートであっても、何を含み、何を除くかの定義によって、数値に大きな違いが生じることがあります。

例:

  • 「日本の食品宅配市場」の市場規模がレポートAでは4,000億円、レポートBでは6,000億円だった場合
    • Aは「定期配送サービスのみ」
    • Bは「Uber Eats等の即時配達も含む」
      → 定義を比較せずに数値だけを並べると、誤った評価になります。

対策:市場の定義や対象範囲を必ず確認し、「何が含まれているか/いないか」を読み取る。


2. 成長率(CAGR)の「前提条件」に要注意

CAGRは将来性を測る便利な指標ですが、仮定や想定が楽観的すぎる場合もあります。たとえば「政府支援が継続」「価格が維持される」「競合が参入しない」など、予測モデルに都合の良い条件が入っていることも。

対策:レポートの「前提条件」や「シナリオ分岐(楽観・中立・悲観)」を確認し、過信しすぎない。


3. 古いデータの使いまわし

「参考データ」として見つけた市場規模が数年前のものであることに気づかず、そのまま使用してしまうケースは少なくありません。特に変化の早い業界(IT、Webサービス、D2C、AIなど)では、2年前のデータでもすでに陳腐化していることがあります。

対策:データの出典元と発行年月日を必ず確認し、「最新の傾向を補足できるデータがあるか」をチェックする。


4. データだけで「真実」を語れるわけではない

数字があると説得力は増しますが、市場の構造変化や定性的な動きは数字だけでは読み取れません。たとえば、「市場規模は横ばいだが中身は大きく入れ替わっている」といったことは定量データだけでは見えにくい典型例です。

対策:定量データに加えて、業界ニュース、政策動向、競合他社の戦略など、定性的な背景情報も並行して追う


5. データは「目的」を持って使うもの

よくある誤解の一つに「とりあえずデータを集める=良い調査」という考えがあります。しかし、データは「意思決定」や「戦略検討」のために活用するものであり、目的がないと集めても意味を持ちません

対策:調査を始める前に、「何を判断するための情報か?」を明確にしてから情報収集に入る。


まとめ

市場規模や成長率のデータは強力な武器になりますが、「数字の裏にある定義・前提・背景」を正しく理解していなければ、逆に意思決定を誤らせるリスクがあります。

最も重要なのは、「正しい文脈で、正しい目的で、正しいデータを使う」こと。そのためにも、複数ソースの併用や、背景知識の補完を常に心がけましょう。

第9章|おわりに:ツールを使い分けて精度を高めるコツ

市場規模や成長率の把握は、ビジネスにおける「勘や経験」ではなく、「データと論理」に基づいた判断を支える基盤です。しかし、完璧なデータソースは存在しません。だからこそ重要なのは、目的に応じてツールや情報源を適切に使い分けることです。


組み合わせることで見える「市場の全体像」

本記事で紹介してきたように、市場を把握するための手段は多岐にわたります:

  • 公的統計(e-Stat、METIなど)
  • 民間レポート(矢野経済研究所、Statista、Mordor Intelligenceなど)
  • リアルタイム系(Google Trends、SimilarWeb、SNS分析)
  • 調査会社によるアンケートやインタビュー(マクロミル、クロス・マーケティングなど)

これらを単独で使うのではなく、複数組み合わせて検証・補完することが、市場理解の精度を高めるカギになります。


「レポートを読む力」と「仮説を持つ力」の両輪が必要

優れたレポートを持っていても、読み方を誤れば逆効果になりかねません。また、どれだけデータを集めても、「仮説」がなければ判断の指針は持てません。

  • 仮説(=自社がこの市場で勝てる理由)
  • データ(=その仮説を裏付ける根拠)
  • 検証(=複数情報源で妥当性をチェック)

この3つの視点を行き来することで、単なる「情報収集」から「戦略構築」へと昇華させることが可能になります。


情報の信頼性を見極める目を持とう

現代では、誰でも簡単に「それっぽい数字」を探せますが、その数字がいつ・誰が・どんな方法で算出したかに注意しなければなりません。
情報の鮮度・出典・定義・前提条件を常に確認し、鵜呑みにせず、自社の文脈に合うかを見極める力を持つことが重要です。


まとめ:データは戦略の“共通言語”である

市場データや成長率は、社内外のステークホルダーと認識を揃え、議論を進めるための「共通言語」として機能します。
正確なデータを土台にすることで、属人的な意思決定から脱却し、より客観的かつ再現性の高い戦略設計が可能になります。

ビジネスの不確実性が高まる時代だからこそ、「市場を正しく理解する力」は最大の競争優位性となるでしょう。

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この記事を書いた人

マーケティングの実践ガイドコンテンツをお届けするMarketing Library 編集部です。

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